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※ 小規模企業向けのご提案です。それ以外の事業所は参考にしないで下さい。 | ||||||||||||||
1.求める人材、育成方針、人材評価、処遇 | ||||||||||||||
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人事制度は1つ1つ自分の会社にあったものを作る、という話を別のところで記載しておりますが、もし可能であるならば人事制度をトータルで考える方が理想に近いです。人事制度の中でいくつかに分かれるわけですが、それぞれ別物であるよりは、相互に関連している方が整合性がとれますし、全体で人材活用に繋がります。ここでは、人事各制度間の関連性を見て下さい。 | ||||||||||||||
標題にあるように、求める人材を解りやすく方針として明記し、その方針に従って育成方針がたち、先輩・管理職はその育成方針に沿って指導・育成し、育てた人材を当初の求める人材としてどうだったか評価し、賃金制度や職位や職種配置に活かしていく。自己成長が実感できれば、さらにモチベーションは上がり、人材政策のプラスの循環が図られるのです。 当事務所では、小規模企業の支援をテーマとしておりますので、小規模企業にも対応する軽量なトータルの人事制度提案を致します。そのため、非常にシンプルなご提案になりますが、ご呈示させていただきます。 |
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実際にはシンプルな方が全体の流れが経営者にも理解しやすいですし、全体の流れが解りやすい方が定着するというメリットがあります。完璧に近い方が、人材の多様な長所をくみ取ることが出来る一方、制度そのものが複雑になってしまい、人事部の担当者でないと理解できないというバランスの悪い事態にもなるデメリットがあるのです。それよりは、シンプル・イズ・ベストという視点で、シンプルで全体が解りやすい各制度が連携した人事制度を作りましょう。 社会保険労務士がお手伝いいたします。 |
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2.人材基本方針 | ||||||||||||||
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まず経営者が基本的な方針を示さなくては下が動きにくいのは、会社経営の他の場面でも同じかと思います。しっかり考え、決定し、はっきり示しましょう。 我が社が求める人材はこのような人材です。我が社の仕事を通じて育って欲しい人材はこのような人材です。という意味で「人材基本方針」を示します。例えば、 |
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1.我が社の人材は、○○○○○○が出来る人材である。 2.我が社の人材は、□□□□□□を、常に心がけて取り組む人材である。 3.我が社の人材は、△△△△△△の為に、最善の努力をする人材である。 4.我が社の人材は、☆☆☆☆☆☆について、考え研究する人材である。 5.我が社の人材は、◎◎◎◎◎◎を、実践する人材である。 6.我が社の人材は、◇◇◇◇◇◇に挑戦する人材である。 7.我が社の人材は、◆◆◆◆◆◆を革新する人材である。 8.我が社の人材は、●●●●●●について調整、調和を取る人材である。 |
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このような人材を求め、このような人材に育成していくという意思表示が必要とされる人材像の基本となります。 | ||||||||||||||
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3.人材育成方針、教育方針の作成 | ||||||||||||||
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人材基本方針が示されたら、その方針に沿って、人材育成方針、教育方針を作成します。 小規模企業は採用する社員のほとんどが即戦力の中途社員だから、育成とか教育とかは考えてないし、無理だというご意見もあるでしょうが、これからは育てることを考えて下さい。企業規模から言って、最初から優秀な人材を採用するのは難しい。どうしたらよい?という質問に答えるならば、今いる人材を育て、少しでも優秀な人材にしていくしかないのです。人は誰でも何歳になっても成長したいという意欲は必ずあります。それを押し殺したり、忘れようとしているだけで、実際に成長できたら、その喜びは万人共通の心からの喜びです。それは会社にとっても人材力の向上でもあるのですから、利害が一致しているのです。 上記の、1.から8.までの人材像になってもらうために、現場教育(OJT,オン ザ ジョブ トレーニング)や集合教育(OFF JT)で、こんな風に育成、教育をするという方針も決め、社員にも解るように掲げましょう。 |
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1.○○○○○○が出来る人材のため、会社は必要な研修・教育を実施する。 2.□□□□□□を、常に心がけるため、会社は必要な研修・教育を実施する。 3.△△△△△△の為に、最善の努力をするための研修・教育を実施する。 4.☆☆☆☆☆☆について、考え研究するため必要な研修・教育を実施する。 |
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・・・というように、社員に求めるばかりでなく、会社も必要な研修・教育を実施するということを宣言したことになりますから、これに応えて下さいねということでもあります。中には今更勉強は嫌だという人もいるかもしれませんが、多くの就業規則でも、「必要な教育を実施する」と書いてあります。就業規則に反することは、規律に反すること、義務を果たさないことですからときちんと言えることなのです。 | ||||||||||||||
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4.リーダーによる育成計画、教育計画の作成 | ||||||||||||||
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会社の人材育成、教育方針は会社全体の方針を示したものですから、実際の個別の部署や職種ごとに具体的な教育のやり方を決めて実施しないと、人材は育ちません。現場ごとの事業に応じた育て方を実践するため、その具体的なやり方を計画するのが現場のリーダーです。 | ||||||||||||||
リーダーは会社業績を上げるの為にも仕事をしますが、具体的育成計画を立てるのも大変重要な仕事です。それは現場のリーダーにしかできない仕事です。会社の人材方針を見て、部下、後輩達をいかにして育てるかを考えて下さい。 | ||||||||||||||
育成計画?難しそうだな、と感じると思いますが、自社の身の丈にあった計画でよいのです。逆に、大規模企業のような計画を立ててしまうと、絵に描いた餅でとても実行不可能なんて事になりかねませんから、自社にあったものを作りましょう。 | ||||||||||||||
すでに方針は示されているのですから、その方針の1つ1つを自分の部署の仕事、そしてそれを担う人員に当てはめて、今より少しでも成長させるためには、このようなことをすると良いのではないか、という素朴は発想が大事です。 | ||||||||||||||
1.○○○○○○が出来る人材にするため、うちの現場では○○を実施。 2.□□□□□□を、常に心がけて、模範として自分が実行、見習わせる。 3.△△△△△△の為に、最善の努力をするために△△の手法を教える。 |
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4.☆☆☆☆☆☆について、考え研究するため、終業時間1時間前から、 OFF JTで教材を使って勉強させる。 5.◎◎◎◎◎◎を、実践するため、2人組で実践させる。 |
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などのような方針に沿ったものだけでも良いでしょう。少ない計画でも、それを実行する方が素晴らしい。立派な計画も、立てただけで実施しなかったら最初から無いものと同じです。企業規模によっては、3つくらいを確実に実行したのでも確実に育成効果が上がるはずです。 | ||||||||||||||
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5.育成・教育はリーダーも育成します | ||||||||||||||
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きちんと教えることは、教えられる人にも良いことですが、教える側にも良いことが沢山あります。教えることによって、先輩、リーダーの自覚が生まれます。教えるには自分がきちんと知っていなくてはならないので、教える準備として歳学習します。そして、良く教えるために工夫をします。教えることの相談、教えたことの報告もちゃんとしなくてはなりません。 | ||||||||||||||
教えてあげれば、感謝し敬意を持ってくれます。人のために役だったことを自負できますから、心からの喜びでもあります。自分が人の役に立てることを知る経験は自信にもなりますから、その良い所を伸ばしたくなります。本当に先輩らしくありたい、良いリーダーでありたいと願えば、自ら成長する意欲を持つ事になります。 | ||||||||||||||
自分では出来ることも、それを出来ない人、知らない人に伝えるのは簡単ではありません。一つ一つの手順や専門用語、感覚的に身につけていることを言葉やボディランゲージで伝えられなくてはなりません。この作業が教える人にとっての再学習であり、出来る事・知っている事のより深い理解へと導きます。 | ||||||||||||||
さらに、出来ればより短時間でより上手に身につけてもらうためには、独自の工夫が必要です。仕事において、独自の工夫が出来るようになる事は、教育を超えた人材の成長という効果があります。 | ||||||||||||||
スムーズに全部教えられればよいのですが、不得意な事は教えるのも苦手です。そこで教える人にとっての先輩、リーダーに相談します。こうして先輩の先輩から後輩の後輩へとコミュニケーションと仕事の技術などが受け継がれていきます。知識・技術の伝承、リーダー教育の実践となります。 | ||||||||||||||
計画を立てたときに上司に承認してもらいますから、それを実施した後には、報告が必要になります。教育の良い所は、教えられる人がある程度素直で前向きな姿勢ですから、報告もやりやすい事です。第一線の仕事では、報告も相当なプレッシャーであるのとは違いがあります。ここで報告が組織を動かしている事を理解できるという利点があります。 | ||||||||||||||
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6.自己育成の支援、確認 | ||||||||||||||
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中小企業では、全職種全階層の従業員をもれなく育成するのは難しい面があります。でも、ヒト・モノ・カネのうち、中小企業で努力で伸ばせるものはヒトですから、従業員には成長し続けてもらわないといけません。 | ||||||||||||||
定期的に仕事をする上で成長してもらうため、外部研修や仕事に必要な書籍などは出来るだけ期待に応えるよ、と伝えましょう。期待でありますが、その様な意欲のない人は良い待遇にしてあげられないという、事業活動の真実も伝える方が長い目で見れば本人のためです。 せっかく、縁があって入った会社の仕事を通じて成長しないともったいないです。仕事にかける時間は人生の中で非常に多くのウェイトを占めます。そこでちょっとずつでも進歩していくのがやり甲斐、生き甲斐ではないでしょうか。 |
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このような伝え方で、自己育成していく事が我が社の従業員の事も配慮した人材とその育成の考え方であるという雰囲気作りをして下さい。 どんな形であれ、けっこう頑張って仕事に取り組む人の方が多いはずですが、それを「私はこんなに頑張っています」と表現するのは日本人は苦手ですから、それを表現する機会を作って下さい。出張レポートや、面接の個人票、作文など何でも結構です。その中に自分の成長のため考えている事、心がけている事、行動に移している事など書いてもらい、それを読むと褒めたくなります。 |
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幼稚な方法に見えるかもしれませんが、こんな簡単なコミュニケーションも無い会社が多いのです。そうすると、個人の気持ちがばらばらになってしまって、会社の進む方向性の共有が出来ないのです。成長の努力への確認作業という側面もあるのですが、人は褒められた方が成長するのです。この事は、各界の専門家も裏付けている事なのです。 | ||||||||||||||
褒めて、そして、その次の成長も期待して、頑張ってもらいましょう。 ポジティブな発想で成長する集団の力は、とても大きい企業力になります。一人一人の努力と成長が中小企業の企業力の源です。 |
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7.人材育成方針に沿った人事考課 | ||||||||||||||
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人事考課は、その会社が決めた評価項目によって自社の人材を評価するものですが、その評価項目は非公開のケースが多いようです。でも、評価項目は会社が人材にとって大切と考えている事ですから、知らせた方が良いです。 人は目標があった方が頑張れるのです。人材育成方針に基づいて、人材評価を決め、この内容に沿って頑張ってくれれば良いと提示した方がやりやすいはずです。 |
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評価項目を出してしまうと、その部分しか頑張らないというデメリットがあるのは事実ですが、違う視点で見れば、そこだけでも頑張るなら何も頑張らないよりもずっとましです。 優秀な人材のあらゆる側面を身につけてくれれば、それはありがたいですが、現実的には高望みです。フレキシブルに対応できるのが中小企業の良い所ですから、例えば今年はこんな人材方針で、次の年は違う側面を求め、その次の年は別の視点でと考えれば偏りは防げるでしょう。 人材に成長してもらうためのツールと捉えれば、人材育成方針競った人材像、その具体的表現である評価項目を明示して、具体的な目標にして日々努力してもらうのがよい人事制度と考えます。 |
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上の方で記載した人材基本方針をそのまま使うと、評価項目は下記のようになります。 1.○○○○○○が出来る 2.□□□□□□を、常に心がけて取り組んだ 3.△△△△△△の為に、最善の努力をした 4.☆☆☆☆☆☆について、考え研究した 5.◎◎◎◎◎◎を、実践した 6.◇◇◇◇◇◇に挑戦した 7.◆◆◆◆◆◆を革新した 8.●●●●●●について調整、調和を取ることがきでた |
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8.人事考課の給与・昇格・配置への反映 | ||||||||||||||
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人事考課は当然のことながら、人材に対しての一定の評価がされます。評価は評価だけでも、本人に伝えて成長の喜びと反省に使うという方法もあります。しかし、多くの企業では、評価をしたら具体的処遇に使うのが一般的です。その具体的処遇とは1.給与 2.賞与 3.昇格が代表的ですが、4.配置などに使う場合もあります。 長く働いてもらうわけですから、将来的に会社にも本人にもより良い事態を期待することがわかる使われ方が良いでしょう。一時的な信賞必罰的な使い方は、戦国武将的で処遇が下がると、これじゃ他所へ行こうということになり、良い処遇を受けるためにはその時だけ頑張るという一時的な頑張りにしかならない恐れがあります。 |
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1.給与 昇給月は毎年4月の会社が多いですね。定期昇給と呼んで実施されます。その金額もやはり一律ですと刺激がありませんので、仕事への意欲を喚起するには甲乙を付けるべきです。その人によって違いを持たせる場合に人事考課の結果を反省させるのです。 |
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2.賞与 給与と並んで人事考課の結果を処遇に利用する場合の一般的使われ方です。中小企業ではむしろ賞与の方が多いかもしれません。従業員が少ないと、同じ職種で同じくらいの年齢が複数いると継続性のある給料では余り差を付けにくいという配慮が働くため、賞与は1回1回が個別に決められます。サイクルも半年ごとに人事考課をして、それを賞与に反映させます。半年というサイクルがちょうど良い期間と受け止められているようです。1年に1回は間が空きすぎるのでしょう。 |
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3.昇格 会社には役職や会社によっては社内資格等級制度があります。役職や人材の格付けに人事考課を使う場合があります。 4.人材配置 人材配置は人事権がある人や部署が決めていくものですが、難易度の高い能力を必要とする部署への配置換え、対人能力を求められる部署など特定の能力を備えている人材を配置する資料として人事考課を使うやり方もあります。 |
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9.人材方針に沿った育成面接 | ||||||||||||||
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実社会を見ますと、人事考課は処遇にしか使われていない事が多いです。それでも、働きやすくて成長性の高い会社は育成のために使っています。ですから、やはり人材育成のために使っていただきたいです。 面接というと戸惑ってしまいますが、中小企業でも仕事の環境は高度化し、一人一人単独で仕事をする場合が増えています。明らかなコミュニケーション不足がジワジワと浸透してきています。しかし、人は寂しさには耐えられないのです。それは中高年の人であっても例外ではありません。すると、人間関係は悪くなり、なぜか病気も増え、業績も悪影響があります。 |
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この時代のコミュニケーションの機会として、育成のための面接が利用しやすいのです。会社の制度ですから、嫌だと言えません。しかも、育成のためですから従業員の事を配慮している制度です。人材方針に沿った内容でうまく進めれば、基本の人材方針が看板倒れでなく本気である事が伝わり、上司や会社への信頼が高まります。 人事考課の結果をただ伝えるのは良くありません。人事考課の結果に示された長所や短所を見て、良い所を伸ばし、悪い所を普通レベルまで上げれば、もっともっと良い仕事が出来るよ、というコミュニケーションという場面で人事考課を活かしましょう。その気持ちが伝われば、一人じゃない、気にかけてくれる人がいるんだ、という安心感で心を開くようになり、会社と本人のための目標をともに確認しあって人材の成長を図る事が可能です。 |
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時間は一人30分以上かけないと良い効果が現れないと言われています。注意して欲しいのは、面接というと上司が一方的に話し役になりがちという事。反対で、一定時間上司はただ話を聞くだけという時間帯を設置することが大事です。上手に相槌を打ちながら、普段は解らない気持ちや考えを引き出す傾聴の実践になります。傾聴が上手に出来るとリーダーシップや人間の幅を広げる事に役立ちます。 理想を言うと月1回定期的に行うと、若者の離職に悩む会社でも定着に効果が現れます。 |
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10.育成教育計画へのフィードバック | ||||||||||||||
11.人材方針へのフィードバック | ||||||||||||||
12.人事制度全体へのフィードバック | ||||||||||||||
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人事制度は一度作られると変更されない傾向があります。一方、一部の頻繁に変える会社では、その都度ガラッと今までと違う制度にしてしまう傾向もあります。しかし、制度も育成していくものです。シンプルな発想で作る方が、その会社の本音が込められて良いので最初はシンプルに作る。実際に運用してみて、結果を見、内容を再確認し評価と反省をし、軌道修正・改定していく。まさにPDCAサイクルです。 | ||||||||||||||
人事制度を現場で数多く実践しているのはリーダー達ですから、フィードバックの第1ステップはリーダーが担う育成・教育の計画です。その仕事に合わない事、その部署に合わない事、これからの若者には適用できない事、新しい考えで必要な事など様々な視点から、改善の提案をしてもらいます。 それまで時間をかけて会社が育成したリーダー達ですから、会社の事を考えてくれるはずです。リーダー達からあがってきた改善のアイディアを人材育成方針、教育方針、さらに人材基本方針にフィードバックさせ、人事総務担当部署や経営幹部は会社全体を見渡した新しいものに成長させて下さい。 |
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そして、会社のリーダーから経営幹部までが、その会社ならではのあるべき人材像を具体的に持つようになり、その会社のあるべき人事諸制度「我が社の人事制度」が作られていきます。 | ||||||||||||||
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